Ricken's「WHO」インタビュー

まずバンド結成のきっかけをついて教えて下さい。

石田:お互い別々にバンドをやっていたんですけど、そのプロデューサーが奇しくも同じプロデューサーの人で。その人がツインボーカル、ツインギターのバンドをやりたいなーということで、「楽しんでリッケンバッカーを持ってやらないか」と僕らに個々に声を掛けてという感じですね。

じゃあ、お話を頂いてそれでバンドをやってみようかなっていう。

石田:そうです。

お互いにそれぞれのメンバーの名前を聞いた時はどのような印象だったんですか?

石田:どうなるのかわからないですけど、ロックを楽しくやろうっていう感じなんで、何か面白そうだなと思いました。

佐々木:ほんと一緒ですね、それは。石田君の資料とか頂いて、やっぱりすごい声が高いなと思って。(笑)どうやってハモれば良いのかなとか多少は考えましたけど。最初にデモを持って行って歌を入れた時には何の迷いもなくなったというか。

石田:うん。

二人は事前にはお知り合いとかではなかったんですか?

石田:音楽業界に入った時が同じ96年位で、その時に名前とか、こういう人なんだとかは意識しましたけど。

佐々木:地方のラジオ局で同じ帯でDJやってたんですよ。深夜番組やってたんですよね。

石田:はい、そうです。

お互いに面識はなくても活動は知ってるという感じだったんですね。

佐々木:知ってましたね。

石田:はい。

あえてなぜリッケンバッカーだったのかなとお聞きしたかったんですが、それはお話を頂いたからという感じなんですね。

石田:そうですね。やっぱりボーカリストがツインギターでやるわけだから、あんまりストラトとかレスポールみたいに、きっちりリードトーンもやってとかそんなこと良いからって。ジャカジャカーンって弾けば良いからっていうのでリッケンバッカーを支給されたんですね。

あぁーなるほど。(笑)

佐々木:(笑)

普段はリッケンバッカーは弾かれてるんですか?

石田:リッケンバッカーの12弦はちょっと借りて弾いたりはしてましたけど、自分のギターの中にはなかったですね。

ストラトとかテレキャスターとかギターの種類はいっぱいありますけど、リッケンバッカーってどういうイメージでしたか?

佐々木:やっぱりこうリバプールサウンドというか。

石田:それはありますね。

佐々木:なんか素朴な昔の音色というかあったかいというか。

石田:うん、レトロな。

佐々木:全然そういうのは関係なくいろんなエフェクターを使いまくって、何のギター使ってるんだみたいなレコーディングしましたけどね(笑)

石田:そうですね。(笑)

素朴な感じじゃなくなってるんですね。(笑)

佐々木:使ってるギターは確かにリッケンだけど。(笑)

石田:そうですね。

弾いてみてリッケンバッカーはどんな感じですか?弾きやすかったですか?

石田:普通よりちょっとクセはあるみたいな感じですね。

佐々木:弦を張り替えるのが難しいよね。慣れるまで結構かかりました。(笑)

お話は変わるんですが、今回、一緒に活動してみて佐々木さんから見た石田さんはどんな人でしたか?

佐々木:いや、本当、音楽バカですね。(笑)

(一同笑)

佐々木:すっごいロックに詳しくて、ギタリストじゃないのにギターも機材もすごく詳しくて(笑)いろいろ勉強になったんですけど。

石田:ギタリストより機材は持ってるかなと。

佐々木:明るくてすごいフレキシブルな・・・。

そうなんですね。

佐々木:人なんだけど、ちょっとガンコな。(笑)

石田:(笑)

佐々木:でも音楽にかける情熱っていうのはもう今まで見て来たミュージシャンの中ではダントツ。自分の世界を持ってる。

石田さんの方は。

石田:收さんこそ自分の世界を。(笑)

佐々木:僕、持ってない。(笑)

石田:ほんと強いんですよね。ギターにしても芯が太いというか、ライブを見て下さったらわかると思うんですけど、パフォーマンスとか。

あぁ、それはなんかうなずける気がしますね。

石田:僕なんかどちらかというとあれも良いな、これも良いなっていろんなことへ気が散ったりするんですけど、收さんはあんまりないですね。同じものをずっと聴いてられるっていう。

(笑)え?そうなんですか?

佐々木:そうですね、同じものをずっと聴いていたり。(笑)あんまり新しい音楽を開発出来ないタイプなんで。(笑)

あぁー(笑)

佐々木:だから丁度良いんですよ。最近、流行ったものを聴いて「あぁ、こういうのが流行ってるんだ」って。

石田:(笑)僕もまぁ、オッサンですけどね。

佐々木:若い!

石田:(笑)

佐々木:聞いたらやっぱりお父さんがね、うちより全然若いからね。(笑)

石田:あぁ、そうかもしれないですね。十位、違いますかね。

お互いのお父さんの年まで知ってるんですね。

佐々木:そうなんですよ、あと教育者なんですよね。

石田:先生の息子なんですよ。

佐々木:お互いに。

そうなんですか!

佐々木:男三兄弟なんですよ。

石田:そうなんですよ。

二人ともですか?

石田:二人ともです。

佐々木:石田君は長男で、僕は三男坊なんです。(笑)

石田:はい。

佐々木:そういう共通点がありました。(笑)

石田:初めて僕はお兄ちゃんが出来たみたいな。(笑)一つ上なんですよ。

そうなんですか。

佐々木:と言うか元々、長男の人の方がやっぱりしっかりしてますよ。(笑)

石田:しっかりしてないでしょ。(笑)

佐々木:(笑)

(一同笑)

でもお互いに持ってないところがあってそれで影響を受けてるというところですね。

石田:はい。

佐々木:はい、そうですね。

ツインボーカル、ツインギターそして楽曲の提供も半分ずつということで、相棒でもありまたライバルでもあると思うですが、お互い相手のどんな部分に刺激を受けましたか?

石田:僕はやっぱり一番デカイのはライブですね。レコーディングでは大体作って来るものっていうのは自分がアレンジしてその中でコーラスとかも入れたりするんですけど、ライブっていうものは本当に二人でガチンコ勝負で作り上げて行くものなので、やっぱりすごい刺激を受けますね。

佐々木さんはどうですか?

佐々木:そうですね。やっぱり彼のレコーディングスタイルにも影響を受けるというか。作る楽曲もすごいバラエティに富んでるし、静かな曲からもう激しい曲まで振り幅もあるし、あぁ、すごいなって。

石田さんの楽曲「give me some mo'rock」でギターを下げて弾くというフレーズがあるんですが、ギターを下げて弾くと弾くにくいじゃないですか、でもカッコ良さの為に敢えて下げるぜっていうのは確かにあるなと。

石田:そうですね。もう無駄に惜しみない労力をかけるのがロックみたいな。(笑)

それを敢えて歌詞に書いてるのはこだわりだなと。(笑)

佐々木:そう、俺、歌詞に呪縛を受けて上げられなくなった。(笑)

石田:(爆笑)

佐々木:石田君書いてるから・・・、僕も上げたい。(笑)

石田:ちょっと上げたいんですけどね。(笑)

佐々木:弾きにくいなーと思って。(笑)

(一同笑)

でも下げ続けないと。

石田:はい、下げ続ける感じで。

今までそれぞれ個々に活動を行って来ましたが、今回のRicken'sの活動によって自分の中で得たものはありますか?

佐々木:明るさですかね、前向きさ。

石田:ハハハ(笑)

佐々木:こんなに前向きな現場があって良いのだろうかって。

石田:それはありますね。楽しいですね。

明るくなかったんですか?

佐々木:やっぱりどうしても自分の好きなものとか音楽を作って行くとすごくシビアになったり。

煮詰まったりとか。

佐々木:そうですね、今回、煮詰まりがなかったですからね。

石田さんの方はどうですか?

石田:そうですね、やっぱりすごい楽しく音楽やれてるんで、それだけで幸せです。

11月10日にリリースされたデビューシングル「Dear my friends」と「80's pure」はどのようにして選曲したのですか?

石田:曲をいっぱい持ち寄って週に一回位はレコーディングしてたんですけど、スタッフを含め、みんなロックが好きな奴らばっかりの現場なんで、思ってることって結構、一緒なんですね。收さんの「Dear my friends」を初めて聴いた時に、あぁこれが始まりの曲だなーっていうのがあって、じゃあ、これを1stにしようよとか。それで2ndのシングルはプロデューサーがロック・アンセムみたいな、ロックにまつわるアンセムみたいなのを作ってよっていうのがあって作ってて、それがハマってそれを2ndにしようみたいな。だからもう僕ら含め、スタッフ含めすんなりと決まった感じですね。アルバムタイトルとかアルバムの曲順とかは僕ら二人で決めないんですよ。(笑)

そうなんですか?

佐々木:そうなんですよ。

石田:僕ら曲を作って半々でやってライブも半々で歌って、そこはもちろん全力で行ってほしいから。曲順とかタイトルとか色んな思惑が出てくると、そういうところで二人がぶつかってもしょうがないのでという配慮の元から、僕らも「タイトル決めて下さい」、「曲も決めて下さい」みたいな。(笑)

じゃあ、作って後は曲順とかはおまかせ。

石田:そうですね。

1月にリリースされる1stアルバムはどのような感じで出来上がりになりましたか?

佐々木:ゴキゲンな感じだよね。(笑)

石田:シンプルなロックからこういうこともロックでやってみたいとか、色んなものを詰め込んだアルバムですね。

今回のアルバムのトータルテーマとかはありますか?

石田:今回のトータルテーマは・・・。

佐々木:自力?(笑)

石田:(笑)自力ですね。自力もありますけど。(笑)

佐々木:はい。(笑)

石田:ロックですね。ロックが好きで、そのロックが持っている疾走感とかそういうのを大事にしたいっていうので、曲を3分台、4分台の短めの曲にするっていうのもあったんですよね。 後はさっき言った自力っていうのは、今回、全部自分で出来るところはアンサンブルもアレンジも全部やろうよっていうのがありましたね。

自分で作って来た曲は全部アレンジも自分で。

石田:そうですね、自分で。

そうなんですね。

佐々木:そうですね。

石田:メンバーは僕らRicken'sは二人ですけど、Ricken'sの音を出す為にベースとドラムの人っていうのは今、レコーディングもライブも一緒の人でやってるので、そういう気心の知れたバンド感がありつつ、4人だけでいろんな音を作って行ったというのがありますね。

今回Ricken'sで曲を提供する事でそれぞれ心掛けて曲を作ったことはありますか?

石田:それは何回かやって行くうちにやっぱりカラーがあるんで、被らないようとは思いつつやってました。

佐々木:僕は最初に「ポール・ウェラーのジャムみたいな感じでやりたいね」って、プロデューサーに言われてたんで(笑)、とにかく3分台の速い曲を。それで押し切ってしまえぐらいな感じで何曲も作ってて(笑)。そういう曲を作り過ぎちゃったんで、「ちょっとゆっくりなのも書いてよ」って言われちゃって。(笑)

確かに速いの多いですよね。(笑)

佐々木:今回はもうシンプルなロックで並べて行こうと思って、そんなには深く考えずに作りましたね。

なるほど。今回のレコーディングで何か面白いエピソードがあったら教えて頂きたいんですが、何かありましたか?

佐々木:みんなでゴハンを食べようって行ってラーメン屋に行ったんですよ。みんな醤油ラーメン頼んでたんで、ドラマーが食べてた味噌ラーメンをちょっとおいしそうだねって・・・・。しばらく経ってからそのドラマーが「うん!?」とか言い出して。ゴキブリが入ってて。

えぇっ!?

佐々木:俺もその汁飲んだんだ。(笑)

石田:同じ釜の飯を食ったら、ゴキブリのダシとはよくあるね。(笑)

佐々木:つい違う種類のラーメンだと、ちょうだいってレンゲですくいたくなるじゃないですか。なぜかその時に限って俺だけだったんですよね、すくったの。(笑)

それは面白いっていうよりも衝撃的なネタな気がするんですが。(笑)ショックじゃなかったんですか?

佐々木:いやショックですよー。だからその後、みんなでまたあのラーメン屋さんに行こうって言われたらどうしようかなって思って。おいしいとこなんですよ。これ、よくあることっちゃあ、あることなんだろうね。

石田:よくあることですよ。

(笑)

石田:僕は全然気にしませんから。

佐々木:きっと知らず知らずの内に鍋の中で煮てるんですよね。

(一同笑)

コメントむずかしいですよ、それは。(笑)

石田:まぁ、音楽とは全く。

佐々木:関係ないですね。(笑)

レコーディングは結構、順調に進んだんですよね。

佐々木:ギターダビングっていうのはそれぞれ自分の曲を一人でやってたんですけど、俺のギターダビングやってた時はギターソロをやる曲を一番最後にしておいて、ガーッと盛り上がって、部屋を暗くして大音量でかけて、ウァーッて踊りながら弾いて(笑)、一番良いテイクを使うんですよ。これが結構、早く決まっちゃって、そこにいたスタッフみんながギター弾けるやつばっかりだったんで、みんなで弾こう!ってそれぞれソロ大会して遊んだりとかはしましたね。(笑)

(笑)そうだったんですね。石田さんの方は何かありましたか?

石田:エンジニアの寺田仁さんという人がすごいギターのテクニシャンの人なんで、機材とかそういう話ばっかりしてましたね。

勉強になるところが。

石田:勉強になりましたね。この間、飲み屋に行った時に一つまた教わった事が、仁さんは昔からやってらしていろんなミックスをやっているんですけど、「綺麗に磨いた鏡よりも一つくらいヒビが入っている鏡の方が俺は好きなんだよね。予定調和で綺麗にピカピカにする鏡はいっぱいあるよ、そういうものじゃなくて、ちょっとヒビが入ってるくらいの方が唯一無二のミックスになる」っていう話を聞いて、あぁ、良いこと言うなぁーと思って。

深いですね。

石田:なんか綺麗にするとみんな一緒になっちゃうっていうのがあるのかな。

ライブ活動の方もかなり精力的に行われていますが、Ricken'sのライブの魅力を語るならばどんなところだと思いますか?

佐々木:いつも石田君が言ってることなんですけど、笑ったもん勝ちというか。(笑)

石田:うん、楽しい。(笑)

(笑)

佐々木:楽しいライブ。

石田:僕らのライブってロックの中でもすごい馬鹿げてたり、楽しかったりとかそういうのが出てると思うんですけど、ロックっていうのはもっとシリアスだったり、最近だと怒りに転化するロックもあったりとかいろいろあると思うんです。僕らがやっているロックって今の人から見たら、たぶん古いロックだと思うんですよ。(笑)だと思うんですけど、なんかそのシンプルにやってて、僕らがロックに憧れてたリアルタイムの70年代とか60年代の人のロックではまたなくて、忌野清志郎さんに憧れてる收さんがいたり、僕はヘビメタが好きで80年代ヘビメタばっかり聴いてたりとか、僕らのそういう人への憧れとかが楽しい感じに出るというか。

自分の十代から培ってきたものが今、出てる感じなんですね。

石田:そうですね。

佐々木:うん。

佐々木さんはどうですか?

佐々木:ほんと一緒ですよ。やっぱり自分の好きだった音楽ってやっぱりどこかに笑いがあったり、ライブ行ってみんなが楽しいなって思えるような人達ばっかり好きだったんで。それが憧れたまま大人になって、その音楽をまたやれてるっていうのが、リスペクトがリスペクトと呼ぶリレーっていうんですかね(笑)

(笑)

佐々木:僕はAC/DCとか彼に会うまで全然、聴かなかったんですけど。写真を見たらアンガス・ヤングって人が半ズボンで(笑)。その当時見てたら僕はたぶんファンになってたなーと思ったし。

「give me some mo'rock」の中にはいろいろ隠しネタが入ってるんですよね。他にどのような隠しネタが入ってるんですか?

石田:いっぱいありますよ。

ちょっとだけ教えて頂けますか?

石田:「飛行船から Wanna Whole Lotta Love」は邦題にするとツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」とか、「蝶を追う子みたいに Like A Hurricane」はニール・ヤングのハリケーンのように虫取り網を回すみたいなイメージでやったりとか。(笑)

佐々木:(笑

石田:あと意外と忘れがちなのはアンセムっていうジャパメタですね。(笑)

佐々木:それ入れなきゃ!と思ったんだ、なるほど。(笑)

そうなんですか?(笑)

石田:えぇ、まぁ、そうですね。

佐々木:(笑)

石田:あと「左利きギター」とか。

あぁー。

石田:ジミヘンとかカート・コバーンとか。

佐々木:そういうことか。

石田:ギター壊すんですよ、あの人達は。

すごいいっぱい入ってますね。

石田:すごいいっぱい入ってますよ。

それはHPとかでやってほしいですね。

石田:何個ロックのネタが入ってるでしょう!みたいなね。

佐々木さん、石田さんにとってRicken'sのロックとはズバリ何でしょう?

佐々木:シンプルでポジティブな楽しいバンドです。

石田:Ricken'sのライブに来たらみなさん笑顔になるみたいな、そういう感じですね。

(笑)

石田:そうですね。

最後になるんですけれども、みなさんに向けてそれぞれメッセージをお願いします。

佐々木:Ricken'sではいろんなイベントとかでいっぱいライブやってますんで、是非、一度足を運んでみて下さい。

石田:ライブを東京近郊しかやってないんでなかなか地方に行く機会がないんですけど、やっぱりライブが是非来て頂きたいなと思いますね。Ricken'sのアルバムは大人が安心して聴けるよね、こういうのあんまりなかったよねって言って下さるのがすごいうれしくて。あらゆる世代のロックを一つまとめたようなアルバムになっていますんで、是非、若い子もロック好きおじさん達にも聴いて頂きたいなと思います。

ありがとうございました。

(Interview:Takahashi
2005年1月初旬)

佐々木收と石田匠の2人が何やら面白そうな事を始めたらしい。

現SCRIPT、元MOON CHILDの佐々木收と元The Kaleidoscopeの石田匠の2人が何やら面白そうな事を始めたらしい。
どうもリッケンバッカー片手にジャカジャーンと楽しくロックしちゃってるらしいなんて話を聞けば、そりゃー興味を抱かずにはいられないってもんでしょう。
それぞれがバンドの顔として活動して来た男達の切磋琢磨の真剣勝負、ツインボーカル、ツインギターのロックバンド、その名もRicken's(リッケンズ)。
そんな彼らの1stアルバム「WHO」がこの2005年1月にいよいよリリースされる。いや、はっきり言って最初に聴いた時にぶっ飛んでしまった。
このアルバム、2人のロックへのリスペクトが思いっきり詰まった名曲揃いなのだ。その上、積み重ねてきたキャリアを微塵も感じさせない位の青臭さを持ったシンプルで勢いのあるロックアルバムに仕上がっている。

このRicken'sというバンド、そこいらのバンドとはちょっと毛色が違う。
まず最初に特筆すべきはRicken'sには深みのある甘い低音ボイスを持つ佐々木收と切ないハスキーボイスの石田匠という全く声質の違う個性派ボーカリストを2人も有しているというところ。一見、意外な取り合わせと思いきや、2人がツインボーカルを取る事によってお互いの個性のぶつかり合いから生まれる相乗効果が、絶妙のバランスを持つワン・アンド・オンリーの魅力を醸し出しているのだ。

そしてもう1つはアルバムの楽曲を2人が1曲毎に歌詞からアレンジを含め、ぞれぞれが半分ずつ提供しているというところだろう。
それゆえに彼らは各自の個性を尊重した上で実力を思う存分発揮し、ソングライティングのクオリティをより高める結果となっている。
佐々木收の手による1stシングルにもなった「Dear my friends」はRicken'sの始まりに相応しい勢いと疾走感に溢れたロックンロールに仕上がってるし、「girl friend」は1つ1つのフレーズが耳に残るドラマチックで印象的なナンバーだ。
片や石田匠の方は聴くものを一発でノックアウトしてしまうような、一撃必殺ものの切ないラブソング「80's pure」から、ロック好きを思わずニヤリとさせるキーワードが随所に散りばめられたロックアンセム「give me some mo'rock」まで間口の広い楽曲を披露している。隣によき相棒でもありライバルでもある仲間がいるということが、こんなにもお互いの魅力や技量を際立たせるということなのだろうか。

Ricken'sにおいて2人のスタンスはどこまでもフェアだ。
その馴れ合いや惰性を感じさせないスリリングさがRicken'sの魅力の一つだと思う。大人の男2人が実力で勝負をかけている姿は清々しくもあり、何だかエラくカッコイイのだ。
そして何よりも大切なこと、それはこのRicken'sを誰よりも一番に楽しんでいるのは、佐々木收と石田匠の2人だという事だ。彼らのライブでのあのはじけっぷりが、Ricken'sを心の底から楽しんでいる何よりの証拠だろう。あのやたらと楽しそうなライブの様子を見ていると、2人のロックに対する情熱がこちらにまでストレートに伝わって来て、こっちの体温まで上昇してまうような、熱を感じさせるのだ。

佐々木收と石田匠という2人のアーティストが3分間のロックンロールミュージックの中で稀有な個性をぶつけあったり、共鳴しあったりしている。
それがRicken'sだ。
そしてその男達のロックンロールへの深い憧憬と果て無きピュアなロックスピリッツが詰まったアルバム、それが「WHO」なのだ。

ロックンロールは楽しくてなんぼ、楽しんじゃったもん勝ちだ。
そう、ステージの上でリッケンバッカーをかき鳴らしてるRicken'sの2人みたいに。
特典画像
直筆サイン

プロフィール

佐々木收(Osamu Sasaki):(元SCRIPT, 元 MOON CHILD)
MOON CHILD時代のシングル「ESCAPE」(日本テレビ系ドラマ「FIVE」主題歌)の大ヒットで一躍その名を全国に轟かせる。

石田匠(Takumi Ishida):(元 The Kaleidoscope)
全国FM局パワープレイを最多数で連続獲得し、「愛すべきひとよ」、「nowhere man」をヒットさせ、2003年7月3日には渋谷公会堂でのワンマンライブを成功させる。

Ricken'sオフィシャルサイト