椿屋四重奏「幻惑」インタビュー

インタビュー回答者:中田裕二

改めて、椿屋四重奏となったわけですが、4人になった感想をお聞かせ下さい。

中田:ようやくロック・バンドをやっている気がします(笑)ロック・バンドを始められた気がしますね。

安高氏が加入して変化したのはどんな部分ですか?

中田:そうですね、やっぱりサウンドの幅も広がりましたし、あとは見せ方的に安高くんが入った事によって、ライヴの中に“楽しい”っていう要素が生まれたかなー・・・という気はします。なので、これはショウを目指す、、、ロック・ショウを。
ロック・ショウって今まで言ってたので、そこに近付ける為には、絶対必要不可欠なんじゃないでしょうかって思います。

どんな出会いから一緒に演奏するようになったんですか?

中田:出会い!出会いはもう随分昔ですね。結成当初ですね。仙台で・・・仙台・・・仙台です(笑)
仙台で俺が椿屋四重奏をやり出した頃に、同じイベントで出会いましたね。向こうはクラッシュ・イン・アントワープと言うバンドを結成していて、同時期に結成していたんですけど、それで共演して安高くんを知って、それからずっと付き合いはあります。

どれくらい前に出会ったんですか?

中田:6年前です。イベントに一緒に出て出逢った時にね、多分そん時は“負けねぇぞ!!”・・・みたいな感じでした。俺も彼等を格好いいなと思ってましたね。

安高氏が正式加入する決め手となったものは何だったんですか?

中田:イカしたキャラクターです。

なるほど(笑)椿屋四重奏として活動し始めた頃からいずれは4人で・・・と考えていましたか?

中田:考えてましたね。

4人になって全体的に音の厚みが増しましたが、ギターのサウンド面にはこだわりはありましたか?

中田:そうですね。やっぱりハード・ロック・バンドが好きなんでね、ツイン・ギターの良さっていうか、、、。あとはフロントがフロントでヴォーカルに専念してて、ギタリストはギタリストとして演奏しているっていうね、その佇まいも凄く好きだったのでね。
サウンド面は、今回の「幻惑」に関してはハード・ロックを意識して作りました。

今作の「幻惑」は初期の椿屋四重奏も彷彿とさせるような激しいロック・サウンドが印象的ですが、どんな部分にこだわって作りましたか?

中田:初期とはまた全然違ってるとは思うんですよね。初期はやっぱり3人ならではの、物凄くコンプレッションがかってる、いわゆるギター・ロックなサウンドだったので、それと比べると今回はハード・ロックなサウンドになっているので、意識も印象も違うと思うんですけれど、4人というバンド感にこだわって作りました。

なるほど。最初から最後までギターが強調されている一曲だなぁと思いましたが、これは意図的に隙間を作らないように仕上げたんですか?

中田:そうですね。この曲に関してはビート感、グルーヴ感、横ノリ感というか、そこをちょっと強調したかったので、それが途切れないように、、、。キメばっかりやっちゃうから(笑)ずーっと流れがある、、、同じビートがある、、、、何て言うのかな、、、転がって行く感じって言うのかな?曲がずーっと、、、ま、わかりやすく言うと、ノリやすく、ライヴで体が勝手に動いちゃうような、そういった感じにする為にあまり抑揚をつけなかったと言うか、、、それにしては展開がまだ多いけどね(笑)そんな部分を心掛けましたね。

「幻惑」の歌詞はとても切ない!!と思いつつも、音楽に携わっている人は誰しもこんな感情を抱いた事があるだろうな・・・と思もわされましたが、どんな時に描いた楽曲なんですか?

中田:ツアー中に生まれた曲でサビのメロディーがふと口をついて出た時に、“ただ僕らは”の“僕ら”って言葉がその時のバンドの、自分のバンドに対する意識って言うのかな、、、そういうものを凄く端的に表した言葉だったような気がしますね。そこから、結局自分はロックにとりつかれているんだなぁと言うか、自分には今ロックしかないんだなぁ、、、って部分が曲に出ている気がしますね。

今までの作品の中でも、色々な意味での男らしさも一番感じましたが、メンバー自身、何か変化した部分はありましたか?

中田:男らしさ!! みんなたくましくはなりましたね、ロング・ツアーをまわって。単純に演奏も上手くなったし、あとは団結力、結束力が深まったと言うか強まったので、それで男らしさみたいなところが出てきたんでしょうね。あとは迷いがなくなったんだよね。このバンドは凄い格好いいんだ!!ってみんなが思えているから、うん、、、どこのバンドよりも一番格好いいって自分達が思えているって事が、その男らしさに繋がっているんじゃないかなぁと思います。

カップリングの「サイレンス」もそうですが、何処となく寂しさを感じる詞だなぁと思いました。「幻惑」と一対になっている様にも感じましたが、実際はバラバラに作られたものですか?

中田:そうですね、バラバラですね。「サイレンス」に関しては今年作ったのかな。リフは前からあったかもしれないけれど。
「幻惑」は曲自体はツアー中には出来てたので、アレンジは今年からやりましたけどね。対になってる感じは自分的にはないんですけどね。どっちもロック・バンドらしい、たくましい曲だなぁと思いますね。

なるほど。二曲とも“欲望”と言う感情を強く感じたんですが、テーマとなっているものはどんなものですか?

中田:あー!!でも、テーマはすごい、その、俺が今まで椿屋をやってきたロックにはなかった血の匂いって言うか、生命力とか、うん、、、そういう生々しさとか、、、肉体ですね。凄く肉体を感じるものをこれからは作って行きたいし、それが表現出来る位に力がついて来たんで、やっぱりロックは肉体を感じなきゃロックじゃないなっていう風にも思えたし、、、そんな感じになりました。

今回の「幻惑」は、前シングル「紫陽花」とはテイストもガラリと変わりましたが、これは前々からそうしようと思っていた事ですか?

中田:思ってましたね、うん。基本的には凄く歌も唄えて、いい曲を唄えて、それと同時に物凄く本格的なロックだっていう、その二つの良さが椿屋四重奏だと思うんでね。今回はその本格的なロックだ!!っていう部分を聴いてもらおうかなと思いましたね。でもこれは意図的にじゃなく、自然にそんな感じになりましたね。

なるほど。ライヴの本数も増えてますが、野音でライヴを行ってから変わった事はありますか?

中田:厳密に言うと野音からと言うよりは、ツアー後から、今年に入ってからのライヴはガラリと変わっている気はしますね。

ライヴでは4人になって、3人の時と比べてどんなところが変わりましたか?

中田:やっぱりフロントマンとしての振る舞いみたいなところを強く意識するようになりましたね。それと同時に、俺は真ん中に立ちたかったんだなぁ・・・と改めて思いましたね。

中田さんはヴォーカルに徹する事も多くなりましたよね。ギターを持たないと照れくさい・・・とおっしゃるヴォーカリストも沢山いますが、中田さんはどうですか?

中田:ぼくは持たない方が燃えますね、うん。やり甲斐があるし、俺はヴォーカルだ!! って凄く実感出来る瞬間なのでね。
どんどんどんどんまた格好良くなって行くと思います(笑)そして最後にはギターを持たなくなるかも知れません。・・・それはないか?(笑)ギターも好きなんでね。

(笑)ライヴを見に来てくれるお客さんの反応は気になりますか?

中田:やっぱり楽しんでるか、楽しんでないかは気になりますね。観客の表情を見ます、僕は。最後の曲が終わった時に最高の笑顔をしてくれた瞬間が見られると、バンドやってて良かったなぁ・・・と思える時ですね。

最近ライヴで起こった、印象に残っている出来事を教えて下さい。

中田:アラバキ(ARABAKI ROCK FEST.’06)でですね、バッチ・グー・タイムって言う安高くんのバッチ・グー・タイムですね(笑)そこでアドリブでセリフを入れてきた瞬間(笑)“アラバキも”って入れたんですよね、バッチ・グーの前に。“アラバキもバッチ・グ~♪”って入れたんですよ、瞬間的にね。ちょっと感動しましたね、成長したなぁと思って(笑)これは他の二人には出来ない技なんでね(笑)あ、こいつもようやく自分が椿屋四重奏だって意識が芽生えて来たんだなぁ・・・と言う一幕でした(笑)

安高さん、泣いて喜んでますよ(笑)

中田:あははははは(笑)

細身の中田さんですけど、湧き出るパワーの源は何ですか?

中田:あはははは(笑)
えーと・・・・ワインです(爆笑)
あ、ワイン&女の子です(笑)

(笑)次のアルバムの構想はもう練ってますか?少しお聞かせ下さい。

中田:今回に関してはあまり練らずに、半練り状態にしておこうと思います(笑)で、その出来て行く経過を、最終的にどんな物が出来るのかっていうのを楽しみにしながら、自分の才能を信じて作って行こうかなと思ってます。なので、物凄い事になると思います!!

『椿屋四重奏』『深紅なる肖像』『薔薇とダイヤモンド』、この3作品の中で例えるとどのアルバムに一番近い要素になりそうですか?

中田:どれでもないと思います。

また新しい椿屋四重奏にお目見え出来るって事ですね。期待大!!ですね。
最近観た映画や読んだ本の中でこれは良かった!!・・・というものはありますか?

中田:映画は高倉健さんの『遥かなる山の呼び声』を見まして、また惚れてしまいました(笑)
本はですね、『国家の品格』(著者・藤原正彦)が面白くて今読んでます。

4人になり、今後やってみたい事は何ですか?

中田:今後やってみたい事はですね、3人と4人ていうのはやれる事が違うし、4人だとやれる事も凄く増えるので、その4人バンドの可能性みたいなところを今はとにかく目一杯楽しんでやってみようかな・・・と思ってます。

それでは最後に、Neowingを見ているファンの方へメッセージをお願いします。

中田:今年、椿屋四重奏は4人になりまして、また新たな気持ちで活動して行きたいなと言うか、またここから始まるんだなぁ・・・と言うか、今思うと今までが長い長い準備期間で、今年からようやく椿屋四重奏ってバンドが始められるんだなぁって意識でいますので、本当にいい物を皆様に提供して行きたいなと思ってます。それだけですね。
椿屋四重奏というロックンロールを楽しんで頂きたいなと思ってます。より多くの人にですけどね!!頑張ります!!

ありがとうございました。

(取材・文:磯山みゆき
2006年10月中旬)

プロフィール

椿屋四重奏(つばきやしじゅうそう)
中田裕二 Vocal&Guitar
永田貴樹 Bass
小寺良太 Drums
安高拓郎 Guitar

2000(平成12)年仙台で結成、翌年東京に活動拠点を移す。幾度のメンバーチェンジを経て、一昨年(平成14)11月に現編成に。

自主制作で2枚の音源を発表(いずれも2,000枚以上を売り上げ完売)後、2003(平成15)年8月27日1st Mini Album『椿屋四重奏』でデビュー。アルバム全体にみなぎる初期衝動と鋭角的なサウンド、そして艶やかに非日常を歌う世界観が巷で話題を集め、その名を一躍全国に轟かす。

その後、膨大な数のイベント出演や全国ツアーを経験し彼ら特有の熱をさらに上昇・加速させ、前作より約半年のインターバルを経て完成した1st Full Album『深紅なる肖像』を2004年4月21日発表。

東京・大阪・仙台のワンマンショーも成功し、今夏は「ROCK IN JAPAN FES-TIVAL 2004」をはじめ全国のフェスに出演、いよいよメインストリームへ踊り出る。