エミネムが90年代にスリム・シェイディの名で活動を始め、白人ラッパーとしても家庭環境でも多くの困難にぶち当たり、彼の描くメッセージは常に強烈だった。しかし、エミネムとしてデビューを飾り、その強烈で攻撃的、そしてある意味破壊的なまでのメッセージ性こそが、多くの人々の心を揺れ動かし響かせた。
今ではビッグ・アーティストとしても、世間にその名を知らしめ、HIP HOPファンのみならずロック・ファンの間でもエミネムのライムフロウは浸透し、彼が生み出すサウンドはジャンルを超えて人気を博している程だ。

そんなバリアフリーなアーティストエミネムには、ソロ・デビューを飾る前に活動していたラップ・チームが存在した。その名もD12。2001年に1stアルバム「デヴィルズ・ナイト」を発売。この作品によってエミネム・ファンは勿論、多くのHIP HOPファンを増殖させる結果に繋がった。6人のラッパーが繰り成す世界は、エミネム独特のちょっとダークな雰囲気が全面的に押し出されて居るわけでもなく、メンバー全員が程よく絡み合い、絶妙なバランスを醸し出していた。 エミネム以外のメンバーはビザール、スウィフト、コン・アーティス、クニーヴァ、プルーフと実に個性派揃い。

そんな彼等が世に放つ3年ぶりの2ndアルバム「D12ワールド」を心待ちにして居た人も少なくはないだろう。初回限定盤特典としてボーナスDVD付きも発売する。リード・シングルとなるのは「マイ・バンド」。高らかな笑い声には何ともそそられてしまう。他にも聴きどころは満載。「40・オッズ」のちょっとヘヴィーなライムフロウは是非とも大き目の音で聴いて頂きたい。