the pillowsがオリジナルとしては15枚目となるアルバム『Wake up! Wake up! Wake up!』を発売した。
彼らが信じて鳴らし続けた、ポップ・ミュージックとロック・ミュージック。この二つが気持ちのいいところで交わった、誠実な音の集合体。
Vo.山中さわお流の優しき言葉の問いかけと美しきメロディーが揃った11曲は、揺るぎない想い、やりたいことを誠実にやり続けたからこそ表現できる“ピロウズらしい”作品だ。
ロックはとてもロマンチックで、時には情けないぐらいにせつない。『Wake up! Wake up! Wake up!』は、そんな現実を知りながらも、強さと弱さの愛情で包み込んだかのような、真実の物語が詰まっている。

「かっこ悪いぐらいに力入ってたり、張りきってる感じは今出ない。それより、もう少し自然に言えるし、自然に受け入れてもらえると言うかさ。デビューアルバムを作る若者が送るメッセージとは全然違うんだよ。
<俺たち、今までこんな感じでやってきましたけど>って、そんな感じだから。そこは自然と安心して言葉を出せたのかもしれない。」(山中さわお)

重ねた年月の中に存在する経験は、デビューしたばかりのバンドたちにはお金を出したって手に入れられない貴重な財産。
それでもなおかつ、いやだからこそ、<夢の向こうまで、旅を続けるつもりだよ>(スケアクロウ)なんて歌詞が歌えてしまうのかもしれない。
これも吐き捨てるような乱暴な言葉ではなく、あくまでも自然に語りかけられるからこそ、説得力があるのだ。そして、このアルバムのタイトルも決して押しつけではない、彼らからの問いかけが込められている。

「ピロウズにしては、珍しく世の中に対してのメッセージのタイトルというか、<ピロウズミュージックに目覚めてくれないか？、好きになってくれないか？、僕の好きな世界が広がってくれないか？>って、そんな気持ちで付けたタイトル」(山中さわお)

結成17年。ピロウズがバンドとして一番いい状態であることは、セールスからも伺い知ることができる。
いいバンドに、いい作品に結果が出るのは当たり前のことだ。
だが、それにすら気づいてもらえず埋もれてしまう音楽がたくさんある。世の中の認知度が上がり、彼らの音の世界が広がり始めている今だからこそ、もう一度叫びたい、Wake up!と。

「ピロウズを一回も聴いたことない人にベスト盤じゃなくて、新譜を渡したいと思える作品が作れているのは嬉しい。新譜じゃなくて、ベストを渡してしまうようになったらしょうがないけど、それは寂しいだろうな」(山中さわお)

強く願う想いは『Wake up! Wake up! Wake up!』という最強のポップ・ロック・ミュージックと共に、これからの音楽シーンを再び塗り替えていくだろう。

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